
肩こりや腰痛などのつらい痛みに対して、電気治療がどれほどの効果を発揮するのか気になるところです。
電気治療の具体的な効果は、主に下記のとおりになります。
・ぎっくり腰、寝違えなどの痛みの緩和
・血行を促進し、つらい肩こりや腰の張りを軽減
・捻挫や肉離れなどの組織の修復をサポート
この記事では、電気治療の基本的な仕組みから種類別の特徴、受ける際の注意点までを解説し、あなたの疑問に答えます。

電気治療で期待できる3つの主な効果
電気治療を受ける目的は、単に気持ちよさを得ることだけではありません。
その主な目的は、痛みの軽減、血行促進によるこりの緩和、そして損傷した組織の回復促進という、健康な身体を取り戻すための3つの具体的な効果に集約されます。
つらい痛みの感覚を直接ブロックする効果
電気治療が持つ最も代表的な効果は、痛みの感覚を直接的に抑制することです。
これは「ゲートコントロール理論」と呼ばれる仕組みに基づいています。
体には、痛みの信号を脳に伝える細い神経と、触覚などの情報を伝える太い神経があります。
電気刺激を体に与えると、太い神経が活発に働き、痛みの伝達経路である脊髄のゲートを閉じるように作用します。
その結果、細い神経からの痛みの信号が脳に届きにくくなり、神経痛や関節の痛みなどが緩和されます。
この作用は即効性が期待できるため、ぎっくり腰や寝違えといった急性の強い痛みに対しても有効なアプローチとされています。
血行を促進してこり固まった筋肉をほぐす効果
電気治療は、血行を促進し、慢性的な肩こりや腰の張りを和らげる効果も期待できます。
電気刺激によって筋肉がリズミカルに収縮と弛緩を繰り返す「筋ポンプ作用」が働くことで、滞っていた血液の流れがスムーズになります。
血行が良くなると、筋肉内に溜まった疲労物質や発痛物質が効率的に排出され、同時に新鮮な酸素や栄養素が供給されます。
これにより、硬直した筋肉(コリ)がほぐれ、痛みが軽減されます。
傷ついた組織の自然治癒力を高める効果
電気治療の中には、怪我によって傷ついた組織の修復を早める効果が期待できるものもあります。
特に「マイクロカレント」と呼ばれる非常に弱い電流を流す治療法がこれにあたります。
人間は怪我をすると、損傷した部分の組織を修復するために「損傷電流」という微弱な電気を自ら発生させます。
マイクロカレント療法は、この生体電流と似た電気を外部から補うことで、細胞の活動を活性化させ、ATPというエネルギー物質の生成を促します。
これにより、捻挫や肉離れなどで傷ついた筋繊維や靭帯の修復が促進され、回復期間の短縮が期待できます。

【症状別】あなたに合うのはどれ?電気治療の代表的な種類
電気治療と一言でいっても、その種類はさまざまで、それぞれに得意な症状があります。
ここでは、代表的な電気治療の種類とその特徴を、具体的な適応症状とあわせて紹介します。
低周波治療(TENS):肩こりや腰痛など慢性的な痛みにアプローチ
低周波治療は、経皮的電気神経刺激(TENS)とも呼ばれ、整骨院や整形外科で広く用いられている電気治療の一つです。
比較的低い周波数の電流を皮膚表面から流し、筋肉を直接刺激して収縮させたり、痛みを伝える神経に作用したりします。
この刺激により、血行が促進されて筋肉の緊張が和らぐため、長期間にわたる慢性的な肩こりや腰痛の緩和に適しています。
ハイボルト療法:ぎっくり腰や寝違えといった急性の痛みを集中的に緩和
ハイボルト療法は、高電圧の電気刺激を体の深層部にある筋肉や靭帯にまで到達させる治療法です。
その最大の特徴は、強い痛みに対する高い鎮痛効果と即効性にあります。
ぎっくり腰、寝違え、捻挫といった急性の炎症を伴う痛みに対して、神経の興奮を強力に抑制し、痛みを素早く和らげます。
EMS:筋力低下の予防やリハビリテーション目的で使用
EMSは、電気刺激によって筋肉を強制的に収縮させることを目的とした治療法です。
他の電気治療が主に痛みの緩和を目的とするのに対し、EMSは筋力トレーニングや筋萎縮の予防に特化しています。
マイクロカレント療法:捻挫や肉離れなどスポーツ外傷の回復をサポート
マイクロカレント療法は、マイクロアンペア(μA)という非常に微弱な電流を用いる治療法です。
この電流は、人間が本来持っている生体電流に近いため、体感としてはほとんど何も感じないのが特徴です。
その主な目的は、捻挫や肉離れ、打撲といったスポーツ外傷などで損傷した組織の修復を促進することにあります。
干渉波療法(IF):体のより深い部分にある痛みやこりにアプローチ
干渉波療法(IF)は、周波数の異なる2種類の中周波電流を体内で交差させることで、深部に新たな低周波の刺激を生み出す治療法です。
中周波は皮膚の抵抗が少ないため、低周波治療よりもスムーズに体の奥深くまで電気刺激を届けることができます。
この特性により、マッサージの指では届きにくい深層の筋肉や、関節内部の痛みにアプローチすることが可能です。
筋肉をリラックスさせ血流を改善する効果が高く、慢性的な腰痛や膝関節痛、肩こりなど、根深い痛みやこりの治療に用いられることが多いです。

電気治療を受ける前に必ず確認したい注意点
電気治療は多くの症状に有効な一方で、安全に受けるためにはいくつかの注意点が存在します。
副作用のリスクは低いとされていますが、特定の健康状態にある方が受けると、体に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。安心して治療に臨むためにも、事前に禁忌事項や注意すべき点をしっかりと確認することが重要です。
ペースメーカー使用者など電気治療を受けられない人の条件
電気治療は安全な治療法ですが、すべての方が受けられるわけではありません。
特に、心臓ペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD)など、体内に電子医療機器を装着している方は、電気刺激が機器の誤作動を引き起こす危険性があるため、原則として電気治療を受けることはできないとされています。
また、悪性腫瘍のある部位、心臓周辺、知覚に障害があって熱さや痛みを感じにくい部位への施術も禁忌です。
安全を最優先するため、既往症や体調について事前に施術者に正確に伝える必要があり、少しでも不安な点があれば必ず相談してください。
妊娠中や皮膚に異常がある場合に医師への相談が必要なケース
絶対的な禁忌ではありませんが、電気治療を受ける際に事前の相談が必須となるケースがあります。
まず、妊娠中またはその可能性がある方は、胎児への影響を考慮し、特に腹部や腰部への施術は避けるのが一般的です。
治療を希望する場合は、必ずかかりつけの産婦人科医に相談し、許可を得る必要があります。
また、治療部位の皮膚に切り傷、湿疹、感染症などの異常がある場合、症状を悪化させる恐れがあるため注意が必要です。
アトピー性皮膚炎などで皮膚が敏感な方も、事前に医師や皮膚科、施術者に伝えることが大切です。

整骨院と整形外科における電気治療の違い
電気治療は、整骨院と整形外科のどちらでも受けることができますが、その位置づけや目的には違いがあります。
どちらを選ぶべきか迷う場合は、それぞれの特徴を理解することが重要です。
整形外科は医師が診断を行い、治療計画の一環として電気治療を用いる医療機関です。
一方、整骨院では柔道整復師が施術を担当し、手技療法などを補完する目的で電気治療が行われることが一般的です。
保険適用の範囲や料金、アプローチの方法も異なるため、自分の症状や目的に合わせて選ぶ必要があります。
痛みの原因や目的に合わせた選び方のポイント
どちらで治療を受けるべきか迷った際は、痛みの原因や治療の目的で判断するのがおすすめです。
骨折の疑いがある、レントゲンやMRIで痛みの原因を詳しく調べたい、薬の処方や注射も選択肢に入れたいという場合は、医師の診断が可能な整形外科を受診する方法が適しています。
一方で、手技療法と組み合わせて筋肉や関節のバランスを整えたい、スポーツによる急な怪我への対応を急ぎたい、といった目的であれば、整骨院も有力な選択肢となります。
電気治療の効果に関するよくある質問
電気治療を検討するにあたり、効果の持続性や治療中の感覚など、さまざまな疑問が浮かぶことでしょう。
ここでは、電気治療の効果に関して特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
電気治療の効果はどのくらい持続しますか?
効果の持続期間は症状や治療法で異なりますが、鎮痛効果は数時間から数日が一般的です。
一度の治療で痛みが完全になくなるわけではなく、時間が経つと戻ることがあります。
しかし、治療を継続することで血行が改善され、痛みの原因にアプローチできるため、徐々に痛みが再発しにくい状態を目指せます。根本的な改善には定期的な施術が重要です。
治療中の電気の刺激はピリピリして痛いですか?
基本的に痛みはなく、「ピリピリ」「トントン」といった心地よい刺激を感じる程度です。
電気の強度は一人ひとりの感覚に合わせて細かく調整できるため、刺激が苦手な方でも安心して受けられます。
もし刺激が強すぎたり不快に感じたりした場合は、すぐに施術者に伝えれば調整してもらえます。
まとめ
電気治療は、痛みの信号をブロックする、血行を促進して筋肉のこりをほぐす、傷ついた組織の修復をサポートするなど、多様な効果が期待できる治療法です。
ただし、心臓ペースメーカー使用者や妊娠中の方など、治療を受けられない、あるいは注意が必要なケースも存在します。
整形外科と整骨院では保険適用の範囲やアプローチが異なるため、自分の症状の原因や目的に合わせて選択することが大切です。疑問や不安があれば、まずは専門家に相談してください。
また、当院では、さまざまな電気刺激を組み合わせて施術できる「ES-5000」と、骨折後の回復をサポートする超音波機器「LIPUS」を導入しています。お一人おひとりの症状に合わせて適切に活用し、回復を後押しできる環境を整えています。
記事監修|笹塚鍼灸整骨院 院長 吉江 史年
■資格
- 柔道整復師
- 鍼灸師
■得意な治療
- 鍼灸治療
- 猫背矯正
- ロングマッサージ